『二重人格探偵エリザ 嗤う双面神』( isbn:9784596550255 )

『二重人格探偵エリザ 嗤う双面神』は、ヴィクトリア朝ロンドンが舞台の小説です。例えば、こんなふうに紹介することもできるでしょう。「ようやくスコットランドヤードに科学捜査が入り始めたこの時期、女性警察医エリザ・ジキルは周囲の偏見に苦しみながら科学の力で連続殺人鬼に挑む!」とかなんとか。
それもまたこの小説の一面ではありますけど、いや、まったくもう、素晴らしくいかがわしい小説でした! 昼は王立協会の捜査官が錬金術師を連行するべくあちこちに顔を出し、夜は連続殺人鬼が暗がりで人を襲うんですよ。科学と錬金術と殺人! 

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バングラデシュ時間で過ごしました

ちょっと前のことなのですが、起きた時を7時に設定して暮らす、という話をtwitterで読みました。

人と会う予定の無い日を選んで、これを試してみたのです。10時(JST)に起きたので、3時間の時差。これがどこの標準時かと調べてみたら、バングラデシュ時間でした。浮き稲の国ですね。


「そろそろお昼です」などと書いていますが、実はこのとき精神的にダメージを負っていました。設定してから約5時間。時計はそろそろお昼だと主張しているのに、窓の外では日が傾きかけているのです。世界から拒絶されてる感が地味につらい。
最初の2時間くらいはそう思えて、とても良かったんですけどね……。
何がいけなかったんだろうか、と考えてみると、

  • 3時間という時差が半端で良くなかった、
  • 洗濯しない日なら太陽を気にせずに済んだ、
  • そもそも性格的に向いてない、
  • 前日に「漂った男」(小川一水)を読んでいたのが効いた、

などが原因として挙げられるところです。「漂った男」のせいにしておきたい。

「漂った男」(『老ヴォールの惑星』isbn:9784150308094 所収)

『老ヴォールの惑星』の最後に収録されている、無人の惑星に取り残されたパイロットの話。これだけ未読で残してありました。
一人暮らしになってから読んで良かった、残しておいて良かった、と思います。人によっては、こういうのは絵空事のうちに気楽に読む方が良いかもしれませんけど。

今年の虫食い算メイキング

もう11か月も前のことですが、こんな虫食い算を作りました:

この虫食い算を作る際にどんなことを考えていたのか、書いてみましょう。
なお、答などに触れていますので、ネタバレが嫌な方は解いてから続きを読んでください。

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ライズ重日が今年ではなく3年後にあること

ユールとライズ

よく知られているように、ホビット庄暦には12か月に属さない日が存在します。
平年には5日、閏年には6日。そのうち2日が冬(ユール)、残りが夏(ライズ)です。
我々が普段使っているグレゴリオ暦では2月の日数によって閏を入れますが、ホビット庄暦はそうではないのです。

ホビット庄暦の閏年

ホビット庄暦の平年の夏には、夏至とその前後の計3日間が、12か月に属さない日となります。
一方、閏年なら、夏至の後をもう1日余計に入れてライズ重日と称するわけです*1
ライズ重日は盛大に祝うものとされていますから、これがどの年にあるのかを知ることはとても重要です。

さて、今年はライズ重日のある年なのでしょうか?
今年の夏至の日から来年の夏至の日までが366日であるかどうか、調べれば良いですね。この間には2016年2月29日が存在しますから、366日のような気がします。
あるいはもっと一般的に言って、ライズ重日が存在するのは、グレゴリオ暦における閏年の前年なのではないでしょうか?

日本における夏至の日

結論から言ってしまうと、この「ライズ重日が存在するのは、グレゴリオ暦における閏年の前年」は、実は誤りです。表を見てください(時刻はJST*2

夏至
2013 6月21日14:04
2014 6月21日19:51
2015 6月22日01:38
2016 6月21日07:34

今年2015年の夏至の日が22日であること、来年2016年の夏至の日が21日であることがわかります。来年2月29日が存在するのと差し引きされて、この間365日。平年です。去年がライズ重日だったのですね。

さて、先ほどの表のもう少し上の方を見てみましょう。

夏至
2000 6月21日10:48
2001 6月21日16:38
2002 6月21日22:24
2003 6月22日04:10
2004 6月21日09:57
2005 6月21日15:46
2006 6月21日21:26
2007 6月22日03:06
2008 6月21日08:59

2000年には、夏至JSTで6月21日10:48でした。1年間は365日と6時間弱なので、2001年、2002年、2003年と、夏至の時刻が遅れていきます。2003年にはついに日付を跨いで、22日04:10です。
ところがその翌年2004年には6月21日に戻っています。これは、2003年の夏至と2004年の夏至の間に2月29日が挿入されたことによります。
こうして、夏至は、

  • 4の倍数の年は、6月21日の午前中;
  • 4で割って1余る年は、前年よりも6時間弱遅い;
  • 4で割って2余る年は、前年よりも6時間弱遅い;
  • 4で割って3余る年も、前年よりも6時間弱遅く、その結果、6月22日になる;

を繰り返すことになります。

以上を総合すると、

  • 4の倍数の年(2月29日が存在)、夏至の日は6月21日;
  • 4で割って1余る年、夏至の日は6月21日;
  • 4で割って2余る年、夏至の日は6月21日;
  • 4で割って3余る年、夏至の日は6月22日;

となって、4で割って2余る年にライズ重日が存在するのです。

もっと後の話

さて、ここまでの話を1セット繰り返すと夏至は約45分早まります。4年間は365日×4と23時間15分くらいなのです*3

2003年には、夏至JSTで6月22日04:10でした。4時間10分を45分で割ると、5と6の間。6セット繰り返した2027年には、4で割って3余る年の夏至の日は6月21日となります。
また、2000年には、夏至JSTで6月21日10:48でした。10時間48分を45分で割ると、だいたい14。2056年頃には、4の倍数年の夏至の日は6月20日となります。
……と、25セット繰り返すとほぼ1日分のずれが溜まって、2月が28日しか無い2100年を迎えるわけです。

  • 2022年まで、4で割って2余る年にライズ重日。
  • 2026年はライズ重日が無い。
  • 2027年以降2051年まで、4で割って3余る年にライズ重日。
  • 2055年はライズ重日が無い。
  • 2056年にライズ重日。

*1:つまり、ホビット庄暦における閏年とは、その年の夏至の日から次の年の夏至の日までが366日であるような年のことを言います。

*2:国立天文台のページから転載すれば良いんですが、年ごとにリンクを踏むのが面倒だったので、wikipediaから孫引き。

*3:この精度の話になると、1年の長さの年ごとのばらつきが無視できないので、以降の計算はちょっと怪しい。 http://www.neoprogrammics.com/sun/Northern_Summer_Dates_and_Times.html を見る限りでは、合っているように見えますが、特に2056年については微妙