『Bridge for Ambitious Players』のdeal 2が面白かった件について・続き
まず、d:id:Koba-L:20120220でも紹介した手札をもう一度。
North:
♠ : A J 4
♥ : J 6 2
♦ : K Q 5 3
♣ : Q 9 4
South:
♠ : K 9 5
♥ : A K 8 5
♦ : A 8 6 4
♣ : A 2
Southの3NTで、Westが♦の2を出した、という設定です。
失敗例は、
- Northから♦の低位を出し、Eastから10が出て来たところをSouthのAで勝った
- Northの♥Jを有効に活かすべく、♥の低位を出した。WestからQが出なかったのでJを出してみたが、Eastの手にあったQに取られた
- Eastは♥を打ち返した。これはSouthが取った
- Southは♦で一度勝った
- このときSouthは♦の分かれが悪いことを知った
という感じです(もちろんこの後で♠と♣のfinesseに失敗しますし、♥は3-3に分かれていませんでした)。
『Bridge for Ambitious Players』で提案されている改善手順は2つあります。
手順の説明の前に、throw-inという技術を説明しておきましょう。
- あるプレイヤー(ここではNorth)がtenace*1を持っていて
- このtenaceで稼ぐために
- このプレイヤーの左隣(ここではWest)の手札から次の2種類以外のカードは事前に除去しておいて
- このtenaceのsuit
- 自動的に勝利するようなカード
- この「自動的に勝利するようなカード」に放り込む(throw-in)と
- このプレイヤーからtenaceのsuitが出されるので
- tenaceで稼げる*2
という技術です。時間差を利用してtenaceで稼ぐ意味ではfinesseと似ていますが、tenaceを持つプレイヤーを4番手に置くのがポイントで、上述の「事前に除去して」と「放り込む」がうまくいけば、確実に稼げます。
今回の事例では、このthrow-inを応用します。
改善例1 finesseの前に一仕事しておく
上の失敗手順1と2の間で、♥Kで勝っておきます。これで、上の2のように♥QをWestが持っていた場合にも、♥のWest-East間の分かれ方が4-2ならば、ほぼ確実に1 trick稼げるようになります。なぜかと言うと、Westがこの次に出すカードが、
- ♠ならば、tenaceを持っているNorthが4番手なので、Northで1 trick稼げる*3
- ♦ならば、Westのopening leadがsingltonでなかったと仮定すれば*4、これは♦の分かれが3-2か2-3ということなので1 trick増えた*5
- ♣ならば、tenaceを持っているNorthが4番手なので、Northで1 trick稼げる*6
というように、自動的にthrow-in的な状況が発生して、どこかで1 trick稼げそうです。
改善例2 最初は負ける
上の失敗手順1では♦Aを出していますが、これを出さずに負けておきます*7。上の改善例1で書いたようにWestのopening leadがsingltonでなかったと仮定すれば、次にEastの出すカードが、
- ♠ならば、改善例1と同様
- ♥ならば、tenaceを持っているNorthが4番手なので、Northで1 trick稼げる
- ♦ならば、改善例1と同様。というより、Westの♦は多分4th bestでEastの持っていた♦は最初に出した10のみ、♦は出て来ない
- ♣ならば、改善例1と同様
というわけで、多分、改善例1と似たようなことになります。