秋季限定栗きんとん事件

読んでからだいぶ経ちますが、小市民シリーズ第3巻の感想を書かねばなりません。まずはあらすじ紹介。

(上)のあらすじ

小市民になりたいという小鳩くんの思いは、夏休みの出来事のせいで、ますます強まっていました。彼は、観察と推理を捨てて儀礼的無関心に徹します。そんなところに、同級の仲丸さんが声をかけたのです。「つきあっちゃおうよ」と。断わるはずがありません。小鳩くんは小市民的高校生なのですから。
という訳で、「彼女のために頑張る」という大義名分を得た小鳩くんは観察と推理を行うのでした。めでたしめでたし。
一方で小佐内さんも、その一瞬のしぐさに見とれた下級生とお付き合いを始めます。この下級生は瓜野くんと言い、あの堂島健吾が部長を務める新聞部の熱血記者だったのでした。堂島部長に歯が立たない瓜野くんですが、小佐内さんの暗躍があればコラムスペースくらい手に入らないはずがありません。彼は折りよく起きた連続放火事件の法則性をネタにコラムを書きますが、それは次の放火地区を予想するものでした。
という訳で、やっぱり小佐内さんも暗躍するのでした。めでたしめでたし……と思っていたら、瓜野くんってば調子に乗ってしょうがないなあ。

(上)を一言で

結局、小鳩くんは小佐内さんが気になって仕方がない。

(下)の前半のあらすじ

仲丸さんの心なんかまるでわからない小鳩くんは彼女と上手くいかないのですが、それはそれ。連続放火事件を堂島健吾と追います。もちろん瓜野くんもこれを追っているのですが、彼には放火の裏に小佐内さんの影がちらついて見えるのでした。どうする瓜野くん!

(下)の後半から適当に抜き出し

『常悟朗、火だ、火が見えた。やりやがったぞ!』

問題は、小屋の中。
ポリタンクが三つ並んでいる。

ポリタンク小屋が壊れていく。めりめりと音を立てて。
「……あはっ」

(下)を一言で

小鳩くんは成長した。

以下、いろいろ

  • 「誰かと一緒にいる理由を言葉にしようとするのは、何かの間違いのもとだと思う。わかるでしょ?」という小鳩くんの台詞は、夏のアレを受けたものであって、はぐらかしではないわけですが、そんなことが仲丸さんに通じるはずもない。
  • 瓜野くんの視点で描写される小佐内さんが別人に思えて困りました。
  • 瓜野くんも仲丸さんも、相手に惚れたきっかけを忘れすぎではないでしょうか。
  • やっぱり小鳩くんはひどい。
  • やっぱり小佐内さんは小鳩くんに対してひどい。
  • 小鳩くんと小佐内さんは、彼ら自身の気持ちを分解してみせます。そこに何か強い違和感があるのですが、うまく説明できません。