将棋の終盤例(その4)

前々回前回は、C図から後手が△7六銀上とすれば先手玉が詰む、という話をしていました。

今回は、このC図から△6九角と打った場合の話と、△7六銀引成とした場合の話です(△7六銀上で詰むことを我々は既に知っているのですから、△6九角や△7六銀引成の話は、A図で先手玉が詰むかどうかという意味では必要の無いことではあります。しかし、第1回冒頭で書いたようにこの「将棋の終盤例」は終盤の読み筋を紹介することそのものを目的としており、そういう意味で△6九角や△7六銀引成の話も必要なので、今回はその話をするのです)。

△6九角で詰む話

C図から△6九角と打った局面を、H図としましょう:

続きを読む

将棋の終盤例(その3)

まず、前回の、E図とF図を再掲しましょう。E図:

F図:

前回は、

  • E図までの手順
  • E図から、11手(△8五銀▲9七玉△9五香▲8八玉△8七歩▲同玉△7六銀上▲8八玉△8七歩▲7九玉△7八金)でF図に至る手順

この2つを主に説明したのでした。

今回は、E図からのこの11手の読みに潜む危険と、より安全な手順を示します(予告では、△6九角の変化の話なども書くことになっていましたが、それは次回にします)。

続きを読む

『白木蓮抄』読書会

SF研の同期3人で、『白木蓮抄』( isbn:9784253174671 )の突発読書会をしました。秋田文庫版がKindle化されていたのです。便利ですね。
収録作品は次の通りです*1

  • 「白木蓮抄」
  • 「不死の花」
  • 「百の木々の花々」
  • 「緑陰行路」
  • 「それは天使の樹」
  • 「幻の花恋」

読書会には向かない漫画だったかもしれません。前日に「何をしゃべろうか」と悩んだ挙句に出たとこ勝負で臨んで、結局うまくしゃべれませんでした。ほかの2人もそんな感じだったようです。
「幻の花恋」の鬼姫と夜叉が一人二役だろうか、というのが一番盛り上がった点でした。私にはその視点がまったく無かったもので、つい「そんなことは無いでしょう」と否定から入ってしまったのですが、今考えると、「普通に別々のキャラクターだった→一人二役にできることに気付いて整理した→終盤にあの子を紹介する役が必要になって別々のキャラクターに戻した」くらいのことはあったとしてもおかしくない気がします。
ほかにもいろいろしゃべっていたのですが、省略します。

*1:プリンセス・コミックス版の『白木蓮抄』から「百千鳥」を引いて、「不死の花」「それは天使の樹」「幻の花恋」を足した構成です。

将棋の終盤例(その1)

先月の名人戦第4局の話を書こうと思いました。あの将棋の終盤の話は、「将棋の終盤にはこういうことを考えているのですよ」と紹介する例にはちょうど良さそうなので、そんなことを書きたいのです。
ですが、もしもいっぺんに書いたら、ちょっとした分量になるか、あちこち端折って読者をひどく限定するかのどちらかになってしまいそうです。分割するのが良いでしょう。

題材は、実際の第4局では現れなかった局面です*1A図としましょう。

……もしもこの局面になっていたら、後手の森内名人は先手玉を詰ませて勝つことができたのですが、実際には、先手の羽生三冠がこの局面にならないような手を選んで勝ちました。
その手順の話を、なるべく多くの人に読んでもらえるように何回かに分けてみようというわけです。今回から3回くらいは、A図がどのように詰むのかを書きます。

*1:最初にお断りしますが、この図に限らず、すべての図の消費時間は私の入力時間のみを反映していて、実際の名人戦第4局の消費時間とはまったく関係ありません。

続きを読む

東工大SF研に入った人にすぐオススメしたいけど我慢しているニンジャスレイヤー10エピソード

京大SF研に入ってすぐオススメされた10冊(5月16日に三回目の追記) - 忘れないために書きます という記事に触発されました。
なお、東工大SF研はあまり関係ありません。

『ニンジャスレイヤー』を勧める時、私はついうっかり、ニンジャスレイヤーがニンジャを殺すとか、「マルノウチ・スゴイタカイビル」のような言葉が出てくるとかいう部分を強調してしまいます。そうでない部分を紹介しようと思って選んだのが、この10エピソードです。

キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー

第1部のエピソードの中で、私が最も好きなエピソードです。ボーイ・ミーツ・ガール。受験勉強に追われる男の子が、女の子に出会い、パンクに出会い、ニンジャに出会ってしまいます。
『ニンジャスレイヤー』の世界では基本的に、モータル(ニンジャでない人たち)はニンジャには敵わないもの、それどころかニンジャを見るだけでショック症状を起こしてしまうものなのですが、彼は小さな抵抗を見せます。
http://togetter.com/li/73081
http://togetter.com/li/73084
http://togetter.com/li/73090
http://togetter.com/li/73111
http://togetter.com/li/73121
http://togetter.com/li/73136
http://togetter.com/li/73139
http://togetter.com/li/73143

ラスト・ガール・スタンディング

ほぼすべてのニンジャは、ただのモータルだったのが死に目に会い、瀕死のところでニンジャソウル(過去のニンジャの魂)を受け入れることでニンジャとして第2の生を得た者です。
第2の生は決して良いものではなく、たいていは、モータルの頃には考えられないようなその力を持て余して悪目立ちしてしまい、より強力なニンジャに目をつけられてニンジャ組織の末端構成員となる、残念なものです。
このエピソードで描かれるのは、ニンジャになりたての若い2人の境遇です。

http://togetter.com/li/121698
http://togetter.com/li/123061
http://togetter.com/li/124662
http://togetter.com/li/125337
http://togetter.com/li/126892
http://togetter.com/li/128944
http://togetter.com/li/129244

フィスト・フィルド・ウィズ・リグレット・アンド・オハギ

マッポーな『ニンジャスレイヤー』の世界においては、そこかしこに悲劇の入り口があります。薬物中毒もまたありふれた悲劇です。

http://togetter.com/li/75654
http://togetter.com/li/75662
http://togetter.com/li/75667
http://togetter.com/li/75701

デッドムーン・オン・ザ・レッドスカイ

フリーランスで危険な仕事をして生きるモータルもいます。そのような仕事は、取引先のボスの気まぐれでとんでもない罠を仕掛けられることすらあります。

http://togetter.com/li/87853
http://togetter.com/li/87865
http://togetter.com/li/87870
http://togetter.com/li/89761
http://togetter.com/li/91734
http://togetter.com/li/92513
http://togetter.com/li/93622
http://togetter.com/li/95428

バイオテック・イズ・チュパカブラ

『ニンジャスレイヤー』内には、UMAの噂を聞き付けたニンジャスレイヤー&ナンシーの主人公コンビが、噂の正体がニンジャではないかと疑って調査に赴く、UMAシリーズと呼ぶべきものがいくつかあります。馬鹿馬鹿しい番外編なのですが、この馬鹿馬鹿しさもまた、『ニンジャスレイヤー』の持ち味です。

http://togetter.com/li/121054
http://togetter.com/li/122095
http://togetter.com/li/124378
http://togetter.com/li/125105
http://togetter.com/li/127826
http://togetter.com/li/129805
http://togetter.com/li/130006

カタナ・ソード・アンド・オイラン・ソーサリー

今年になって公開された、ファンサービス的なごく短いエピソード。アンドロイドのアイドルデュオ「ネコネコカワイイ」のライブ映像を含んでいます。「バイオテック・イズ・チュパカブラ」の中のあの曲が、まさかこんなのだったなんて!

http://togetter.com/li/656718

リキシャー・ディセント・アルゴリズム

ここから第2部、キョートです。
このエピソードの主人公は、強烈な格差社会キョートで真面目に働いて上の階層に這い上がろうとする車夫です。ただの車夫だったはずが、フロッピーディスクを手に入れてしまったためにニンジャに襲撃されます。
ニンジャスレイヤーの第2部の相棒ガンドーの初登場エピソードでもあります。

http://togetter.com/li/147645
http://togetter.com/li/150417
http://togetter.com/li/151761
http://togetter.com/li/154672
http://togetter.com/li/160536
http://togetter.com/li/162796
http://togetter.com/li/165378

シー・ノー・イーヴル・ニンジャ

第2部の敵組織を象徴するような、尊大で強いニンジャが登場するエピソードです。ニンジャでありながらモータルの苦しみに寄り添うニンジャスレイヤーとは、好対照をなす敵です。

http://togetter.com/li/164719
http://togetter.com/li/167170
http://togetter.com/li/168527
http://togetter.com/li/170119
http://togetter.com/li/172282

リブート、レイヴン

ガンドーのいわゆる過去回です。過去回によくあるように、このエピソードもここまでのいくつかのエピソードを読んでからの方が楽しめるのですが、しかし、このエピソードを読まないのはもったいないと思い、ここに入れました。
困難に立ち向かうガンドーの姿がとても格好良い、素晴らしいエピソードです

http://togetter.com/li/249170
http://togetter.com/li/252566
http://togetter.com/li/254695
http://togetter.com/li/255785
http://togetter.com/li/262727
http://togetter.com/li/264810
http://togetter.com/li/267368
http://togetter.com/li/267935

ソイ・ディヴィジョン

第3部です。私の最も好きなキャラクターである、フォレスト・サワタリの登場するエピソードの中から選びました。
彼は狂ったニンジャとして描写されることが多いのですが、多くのニンジャを率いるリーダーとして、ある意味ではニンジャスレイヤーよりも理性的に振る舞うことがあります。対比しつつ2人ともを魅力的に描いたエピソードです。

http://togetter.com/li/438917
http://togetter.com/li/439940
http://togetter.com/li/442591
http://togetter.com/li/446289
http://togetter.com/li/450010
http://togetter.com/li/454391
http://togetter.com/li/458602